2012年4月24日火曜日

第1部|第5章|第3節 問題行動の諸形態


第1部|第5章|第3節 問題行動の諸形態

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第3節 問題行動の諸形態

 平成18年に覚せい剤事犯で検挙した少年は289人で,前年に比べ138人(32.3%)減少し,シンナー等の乱用で検挙した少年は,841人で,前年に比べ527人(38.5%)減少した。大麻事犯で検挙した少年は187人で,前年に比べ13人(7.5%)増加した。またMDMA等合成麻薬事犯で検挙した少年は31人で,前年に比べ32人(50.8%)減少した。少年の薬物事犯のうちでは,シンナー等の乱用が依然として大半を占めている(第1-5-7表)。
→(詳しくは,第2部第2章第3節1(2)〜(4)参照)

第1-5-7表 覚せい剤,大麻事犯,シンナー等の乱用及びMDMA等合成麻薬事犯で検挙した少年の学職別状況(平成17,18年)

2. 凶悪・粗暴な非行

 平成18年に凶悪犯で検挙した刑法犯少年は1,170人で,前年に比べ271人(18.8%)減少した。罪種別にみると,強盗が892人と最も多いが,前年に比べ254人(22.2%)減少した。

 また,殺人の検挙人員は69人で,前年に比べ2人(3.0%)増加し,強姦の検挙人員は106人で,前年に比べ36人(25.4%)減少した。

 平成18年に粗暴犯で検挙した刑法犯少年は9,817人で,前年に比べ641人(6.1%)減少した(第1-5-5図)。罪種別では,傷害による検挙人員が5,919人で最も多い。

第1-5-5図 凶悪犯少年及び粗暴犯少年の検挙人員の推移(平成9〜18年)

3. 暴走族等の非行集団
 平成18年に刑法犯で検挙した暴走族少年は1,204人で,前年に比べ12人(1.0%)減少した。その罪種別検挙状況をみると,窃盗,傷害が高い比率を占めている(第1-5-8表)。

第1-5-8表 暴走族少年の検挙状況(平成17,18年)


ニューヨーク市でのURN記念品を購入する場所

 また,少年のみによる強盗の検挙件数に占め る共犯事件や集団事件についてみると,平成18年は共犯事件が60.6%,集団事件が37.6%を占めている(第1-5-6図)。
→(詳しくは,第2部第3章第3節1(13)参照)

第1-5-6図 少年による強盗の共犯事件・集団事件の割合の推移(昭和29〜平成18年)

(1)いじめの状況

 いじめの問題については,「児童生徒の問題行動等生徒指導上の諸問題に関する調査」において,公立小・中・高等学校に加え,及び盲・聾(ろう)・養護学校を対象に,平成17年度間までは,いじめを「[1]自分より弱いものに対して一方的に,[2]身体的・心理的な攻撃を継続的に加え,[3]相手が深刻な苦痛を感じているもの。なお,起こった場所は学校の内外を問わないこととする。」として件数を把握してきた。

 しかし,昨今のいじめによる自殺の問題等により,文部科学省による実態把握が十分ではなかったとの指摘があり,これらを踏まえて,平成18年度間の調査からいじめの定義も含め調査方法等を改定することとした。
→(詳しくは,第2部第3章第3節1(12)参照)
→(詳しくは,第2部第3章第4節4参照)

ア いじめの発生学校数・発生件数
 いじめは,小学校においては11.3%,中学校においては34.6%,高等学校においては30.0%,盲・聾(ろう)・養護学校においては4.0%の学校でみられた。また,全公立小・中・高等学校及び盲・聾(ろう)・養護学校を通じた1校当たりの発生件数は0.5件となっている(第1-5-9表)。

第1-5-9表 いじめの発生学校数・発生件数(公立学校)(平成16,17年度)


イ 学年別のいじめの発生件数

 いじめの発生件数を学年別にみると,小学校から学年が進むにつれて多くなり,中学1年生で最も多くなる。その後は学年が進むにつれて減少している。



 いじめの態様については,小学校,中学校及び高等学校では「冷やかし・からかい」(小学校の構成比44.6%,中学校の構成比46.7%,高等学校の構成比50.1%),盲・聾(ろう)・養護学校では「暴力を振るう」(構成比40.8%)がそれぞれ最も多くなっている。  小学校,中学校,高等学校と学校段階が上がるにつれて,「暴力を振るう」,「言葉での脅し」及び「たかり」の割合が増加している(第1-5-10表)。

第1-5-10表 いじめの態様(公立学校)(平成16,17年度)


エ いじめの解消状況
 平成17年度に発生したいじめのうち,小学校及び中学校で約90%,高等学校で約 95%,盲・聾(ろう)・養護学校では約90%が同年度中にそれぞれ解消している(第1-5-11表)。

第1-5-11表 いじめの解消状況(公立学校)(平成16,17年度)


(2)いじめに起因する事件
 平成18年に警察が取り扱ったいじめに起因する事件の件数は233件,検挙・補導した少年(犯罪少年及び触法少年)は460人で,前年に比べ件数で68件(41.2%),検挙・補導人員で134人(41.1%)増加した(第1-5-7図)。

第1-5-7図 いじめに起因する事件で検挙・補導した少年の推移(平成14〜18年)

(1)児童生徒による暴力行為の発生状況
 文部科学省では,公立小・中・高において「自校の児童生徒が起こした暴力行為」を調査対象しており,平成17年度において,学校内で発生した暴力行為は,小学校では全学校の3.2%に当たる725校で2,018件,中学校では全学校の32.2%に当たる3,294校で2万3,115件,高等学校では全学校の41.7%に当たる1,701校で5,150件発生しており,増加率をみると小学校における増加が目立った。また,学校外で発生した暴力行為は,小学校では全学校の0.6%に当たる127校において158件,中学校では全学校の14.9%に当たる1,527校において2,681件,高等学校では全学校の16.4%に当たる670校において896件となっている(第1-5-12表)。

第1-5-12表 暴力行為の発生状況(公立学校)(平成16,17年度)



 暴力行為には,対教師暴力,生徒間暴力,対人暴力,学校の施設・設備等の器物損壊の4形態がある。
→(詳しくは,第2部第3章第3節1(12)参照)

ア 対教師暴力の発生状況
 対教師暴力については,学校内で発生したものが,小学校で464件,中学校で3,937件,高等学校で590件,学校外で発生したものが,小学校で0件,中学校で30件,高等学校で11件であった(第1-5-13表)。

第1-5-13表 対教師暴力の発生状況(公立学校)(平成16,17年度)


イ 生徒間暴力の発生状況
 生徒間暴力については,学校内で発生したものが,小学校で951件,中学校で1万1,135件,高等学校で2,981件,学校外で発生したものが,小学校で122件,中学校で1,825件,高等学校で551件であった(第1-5-14表)。

第1-5-14表 生徒間暴力の発生状況(公立学校)(平成16,17年度)


ウ 対人暴力の発生状況
 対人暴力については,学校内で発生したものが,小学校で21件,中学校で95件,高等学校で31件,学校外で発生したものが,小学校で36件,中学校で826件,高等学校で334件であった(第1-5-15表)。

第1-5-15表 対人暴力の発生状況(公立学校)(平成16,17年度)


エ 器物損壊の発生状況
 器物損壊の発生状況は,小学校で582件,中学校で7,948件,高等学校で1,548件であった(第1-5-16表)。

第1-5-16表 器物損壊の発生状況(公立学校)(平成16,17年度)


(2)警察による処理状況
 平成18年に警察が取り扱った校内暴力事件の事件数は1,100件で,前年に比べ40件(3.8%)増加した。そのうち教師に対する暴力事件は557件で,前年に比べ17件(3.2%)増加した(第1-5-17表)。

第1-5-17表 警察が取り扱った校内暴力事件の状況(平成18年)


 平成18年に少年相談や補導活動等を通じて警察が認知した少年による家庭内暴力の件数は1,294件で,前年に比べ19件(1.5%)増加した。これを対象別にみると,母親に対するものが最も多い(第1-5-18表)。

第1-5-18表 家庭内暴力の対象別状況(平成18年)

 平成18年に警察が補導した不良行為少年(非行少年には該当しないが,飲酒,喫煙,家出等を行って警察に補導された20歳未満の者)は142万7,928人で,これを態様別にみると,深夜はいかい及び喫煙で大部分を占めている(第1-5-8図)。
→(詳しくは,第2部第3章第3節1(3)参照)

第1-5-8図 不良行為少年の態様別補導状況(平成18年)

 平成17年度間に30日以上学校を欠席した不登校児童生徒数は小学生で2万2,709人,中学生で9万9,578人で,前年度間に比べ小学生は2.6%減少,中学生は0.5%減少となっている(第1-5-19表)。
→(詳しくは,第2部第3章第3節2参照)

第1-5-19表 不登校児童生徒数の推移(平成7〜17年度間)

 平成18年に警察により発見,保護された家出少年は1万6,989人で,前年に比べ350人(2.2%)増加した。これを学職別にみると,中学生が全体の40.5%を占めて最も多く,男女別にみると,女子が53.6%を占め男子を上回っている(第1-5-20表)。
→(詳しくは,第2部第3章第3節1(2)エ参照)

第1-5-20表 家出少年の学職別状況(平成18年)

 平成18年に警察が把握した少年の自殺者は,623人で,前年に比べ15人(2.5%)増加した。これを学職別にみると,高校生が最も多く,男女別にみると,男子が女子を上回っている(第1-5-21表)。
→(詳しくは,第2部第1章第3節5参照)
→(詳しくは,第2部第2章第3節1(1)エ参照)

第1-5-21表 自殺した少年の学職別状況(平成18年)



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